ルパン

美術館のほど近くにある古書屋に連れられた。 外にも本が並べられている、というよりも収まりきらないものが波のように溢れざんばらで、一見で入るには少し戸惑う面構えだ。 私はいつも古書屋に入ると、気持ちがあまり落ち着かない。びっしりと並べられた本…

夢のひとかけらについて

ツイッターをはじめてから、夢日記をつけている。 ふだん、私は自分が思うより、思い出せないことが多い。 物忘れが激しいのだ。でも、夢だけは異様に覚えている。 私の夢はいつも、その瞬間私が置かれている状況に対する深層心理、そして直感に基づく予感を…

サロメ・ピンク

昨日の晩から、今日の0時を過ぎるまでたくさんの人と会話をした。 たくさんの人と言っても、アトリエにたったひとり、こもりきりの私の日常においての「たくさん」は1人以上のことを指す。 それでも昨日の晩から今日の0時を過ぎるまで、私は4人もの人と…

彼と彼

スコール。 太陽を模した瞳は太陽の下で稀に雨を降らす。 細かなプリズムは太陽の光で放射線を描く。 複雑な雨だ。 彼は、それだけが好きだ。 Talk me 彼の指先はひどく二枚爪だった。 栄養が指先にまでとても及ばず、すべての爪先がぼろぼろとめくれていた…

ソーセージとトマトジュース

今日は久しぶりに米を炊いた。 全国的に類まれなる酷暑のようで、とくに京都は殺人的な暑さにも関わらず、私はひがな、クーラーのよくきいた自宅とそこから徒歩五分のアトリエへの行き来しかしない上、日が昇ると就寝し、日が暮れるころにやっと外に出るため…